ディスクシュレッダー再入門(4)

誤解4: OSを再インストールすると消える。

WindowsなどのOSをインストールしたパソコンを購入すると、たいていの場合、 OSを再インストールして工場出荷時の状態に戻すためのリカバリー用のCD-ROM (またはDVD) が付いています。これを使ってOSを再インストールすれば、工場出荷時の状態に戻るわけですから、以前にHDD中に記録された機密データも完全に抹消されるのではないかという思う人もいます。しかし、これもまた完全な誤解です。

リカバリーCD-ROMを使ってOSを再インストールするといっても、 HDDに対する具体的な処理内容は、 HDDのフォーマットと、OSを構成する多数のファイルをHDDに書き込むだけです。前項で述べた理由により、HDDのフォーマットにより過去のデータが抹消されるわけではありませんし、新しいファイルの書き込みにより過去のデータに上書きされるとも限りません。特に、最近のようにHDDの容量が大きくなっていると、その中でOS関連のファイルが占める割合は相対的に低下しますので、過去のデータを上書きで抹消できる可能性はますます少なくなります。たとえば、250GBのHDDに、関連ファイルを含めて5GBのOSを再インストールする場合、過去のデータが上書きされて消される確率は、単純計算で50分の1、つまり2%です(注4)。

注意 : 実際にはいろいろな要因が絡むので、ここは単純な確率論で論じるべき話ではありません。2%という数字は一例に過ぎません。

確率が2%なら、リカバリーCD-ROMを使ったOSの再インストールを50回繰り返せば良いのかというと、それもほとんど無意味です。何度インストールを行っても、OSや関連ファイルを置くために利用されるHDDの領域は、おそらく同じ領域であり、1回目で上書きされた部分が2回目以降も再度上書きされるだけです。インストール方法やインストール時のオプションなどにも依存しますが、一般論として、 1回目で上書きされなかった部分が2回目以降のインストールで上書きされる可能性はほとんどありません。時間がかかる割には、技術的にみてもほとんど意味のない方法だと言えます。

≫誤解5: HDDを物理的に破壊すると消える。

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